冬の天の川にある「ぎょしゃ座」。オリオン座を目印にみつけます。

星座のモデルとなったのは、女の恨みで交通事故死したヒッポリュトス。
または戦車を発明したエリクトニオス。

  • 直径は太陽の10倍 ほぼ1年中みえる1等星「カペラ」
  • 宇宙を秒速130kmで爆走する「AE星」
  • 赤い色が美しい散光星雲「どくろ星雲」「まがたま星雲」

などがぎょしゃ座の代表的な天体です。

このページでは、ぎょしゃ座の由来となったギリシャ神話や、ぎょしゃ座に含まれるユニークな天体を楽しく解説しています。

ぎょしゃ座はカペラを目印に見つけよう

ぎょしゃ座は冬の天の川のなかにある星座で、おうし座の角の上側にあります。

オリオン座から目線を上のほうにもっていき、黄色っぽく輝く明るい星を探しましょう。

1等星の「カペラ」です。

そこから五角形のような形に結べる星が見つかればそれが「ぎょしゃ座」です。
下の図では画面上のひときわ明るい星がカペラです。

ぎょしゃ座の配置図

御者(ぎょしゃ)とは、運転手のこと。
古代ギリシャでは手綱をもって馬車や戦車をあやつる人のことです。

古代ギリシャの戦車

では、夜空の「ぎょしゃ座」をみてみましょう。

夜空のぎょしゃ座

中央付近で明るく輝くのが「カペラ」です。
5角形がわかりますね。

写真の右端中央付近にみえている明るい星は、おうし座の「アルデバラン」。
その上のほうにある青い星の集まりが「プレアデス星団(すばる)」です。

ぎょしゃ座にまつわる神話〜無念!ふられた女の逆恨みで交通事故死

ぎょしゃ座のモデルになった人物には複数の説があります。
ひとつがアテネ王テセウスの息子ヒッポリュトスとする説です。

ヒッポリュトスは馬車(戦車)の名ドライバーでした。
卓越した運転技術で名を馳せていた青年です。かなりのイケメンです。

ある日、ヒッポリュトスは継母のパイドラから猛アプローチを受けます。

しかし、パイドラは継母。
つまり、アテネ王である父テセウスの后です。

「いやいやいやいや、さすがにそれはマズいでしょ」

ということでヒッポリュトスは断りました。

ギリシャ神話に登場する人物にしては、まともな恋愛観をお持ちのようです。
しかし、なりふり構わずアプローチしたパイドラにとってはまさに恥。

「アタシに恥をかかせたわね(怒)」

恨んだパイドラは、テセウスにあることないこと吹き込んでから自殺してしまいます。すごい自爆攻撃!

テセウスはパイドラの言葉をあっさり信じてしまいます。
男なんて古今東西そんなものです。

パイドラを疑わないテセウスは、ヒッポリュトスに死の呪いをかけます。

さて、あるときヒッポリュトスは海岸沿いの道をドライブしていました。
ワインディングロードを華麗なハンドルさばきで駆け抜けます。
コンバーチブル(オープンカー)なので顔にあたる海風が気持ちい。

そのとき、突然馬が暴れだします。
馬車から振り落とされたヒッポリュトス。
暴れた馬に踏まれて死んでしまうのです。

交通事故死です。

テセウスの呪いが効果を発揮したのでした。

女の恨みは恐ろしい…

かわいそういなヒッポリュトスですが、後に無実が判明します。
そして大神ゼウスによって星座になりました。

ヒッポリュトスの神話は、ローレンス・アルマ=タデマ(1836–1912)が『ヒッポリュトスの死』というタイトルで描いています。イギリスのヴィクトリア朝時代の画家です。

ヒッポリュトスの死

さて、ぎょしゃ座の別のモデルはアテネの王エリクトニオスです。

鍛冶の神ヘパイストスと女神アテナの息子で優秀な王でした。

けれども彼は生まれつき足が不自由で歩くことができません。
それでも体を馬に縛り付けて戦場を駆け回り、多くの武功をあげたそうです。

ある日、エリクトニオスはビビッとひらめきます。

「そうだ!戦車をつくって馬にひかせればいいのだ!」

と。

エリクトニオスには発明の才もあったようですね。
彼は4頭立ての戦車(馬車)を発明しました。

戦車の発明によって、エリクトニオスだけでなくアテネの多くの戦士達が戦場で活躍します。

この功績を讃えられて星座になったとのことです。

もっとも北にある1等星カペラ

カペラはひとつの星ではなく、2つの星からなる連星です。
それぞれの星は太陽の約10倍もの直径をもつ黄色巨星です。

カペラ

1等星のなかではもっとも北にあり、真夏以外はほぼ一年中みることができます。

おおいぬ座のシリウス、オリオン座のリゲルおうし座のアルデバランふたご座のポルックス、こいぬ座のプロキオンとともに「冬のダイヤモンド」を形づくります。

秒速130kmで星間をぶっ飛ぶAE星

ぎょしゃ座には「AE星」という変わった天体があります。
観測したときの明るさは6等級で、条件がそろえば肉眼でギリギリみえるかどうか、という星です。

下の写真の矢印の先にある星です。
周囲の赤い星雲は「IC405」通称「まがたま(勾玉)星雲」です。

AE星とまがたま星雲

(参考元:NASA – WISE Catches a Runaway Star in Flames

この星、実は秒速130kmというとんでもないスピードで宇宙を疾走中。
しかも、明るさは太陽の約1000倍!
ドッカン、ドッカンと爆発しながら星間をぶっ飛んでいるのです。
ものすごいインパクトですね。

200万年以上前の超新星爆発もしくは連星系の衝突によって「オリオン大星雲」から弾き飛ばされてきたと推測されています。

恒星の外層や大気の爆発によって明るさが変わるので「爆発型変光星」という分類で呼ばれたりもします。

「IC405」別名「まがたま(勾玉)星雲」はこの星に照らされて光っています。

「どくろ星雲」「まがたま星雲」3つの散開星団

「IC405」別名「まがたま(勾玉)星雲」「IC410」別名「どくろ星雲」は赤色の美しい散光星雲です。

下の写真の右側が「まがたま星雲」、左側が「どくろ星雲」です。

どくろ星雲とまがたま星雲

下はまがたま星雲中心部の写真です。

まがたま星雲

他に、ぎょしゃ座のまんなかあたりにはM36、M37、M38と3つの散開星団が並んでいます。

双眼鏡や望遠鏡でみることができます。