清少納言も好きだった「すばる」がみえるかな?

おうし座は冬を代表する星座の一つで、 黄道十二星座にも含まれます。オリオン座を目印にして見つけましょう。

神話では大神ゼウスが美女エウロパを口説いて連れ去るために牡牛に変身します。

  • オレンジ色に輝く1等星 「アルデバラン」
  • 清少納言もイチオシの 「プレアデス星団(すばる)」
  • 超新星爆発の残骸でカニみたいな形をした 「かに星雲」

など特徴的な天体もそろっています。

このページでは、おうし座の由来となったギリシャ神話や、おうし座に含まれる美しい天体たちを楽しく解説しています。

星占いにも登場するおうし座の見つけ方

おうし座はオリオン座とならんで冬を代表する星座のひとつで、「黄道十二星座(こうどうじゅうにせいざ)」にも含まれています。

おうし座

黄道十二星座は、太陽の通り道(黄道といいます)にある13個の星座のうち、へびつかい座を除いた12の星座です。
星占いでおなじみの星座ですね。

4月30日生まれは「おうし座」、8月25日生まれは「おとめ座」というアレのことです。

西洋占星術では正式には「黄道十二宮」といいます。

おうし座のルーツはとても古く、紀元前2000年〜紀元前3000年頃の古代メソポタミア文明(いまのイラクあたり)ではすでに牡牛の姿をした星座として知られていました。当時は「天の牡牛座」と呼ばれていたようです。

星空でおうし座を見つけるのはそれほど難しくありません。

まず、オリオン座の三つ星を結んで上のほうにまっすぐ伸ばします。
するとオレンジ色に輝く1等星「アルデバラン」があります。
おうし座でもっとも明るい星です。
その付近の星をV字につなぐと牡牛の顔。
さらにそのV字を伸ばすと牡牛の角となります。

おうし座の配置図

それでは練習問題(?)
つぎの写真の星空から実際におうし座を探してみましょう。

みつけられるかな〜?

この写真にはオリオン座が出ていないので難しいかも。
(写真の下にヒントがあります)

おうし座をみつけてみよう

〜ヒント〜
写真右上に青いっぽい星が固まっているのがわかりますか?
プレアデス星団(すばる)です。

そこから左のほうにひときわ明るく輝くオレンジ色の星がありますよね。
1等星アルデバランです。

おうし座の神話〜牛に化けて恋のアプローチ

ギリシャ神話ではおうし座はゼウスが化けた姿といわれています。
ギリシャ神話最高神のゼウス、大変な女好きで有名ですが、今回のエピソードもやっぱり女性関係。
ターゲットは美しいフェニキアの王女エウロパです。

あるとき、下界を見下ろしていたゼウスは、野原で花を摘んでいる美しい女性をみつけました。
その女性こそがエウロパ。
フェニキアの都市チュロスの王の娘でした。

「ドキューン」
(ゼウスの脳内に走った衝撃の音)

一目でエウロパを気に入ってしまったゼウスは、地上に向かって一直線に降下。
エウロパに近づくために真っ白な牡牛に姿を変えました。

突然の牡牛の登場に驚くエウロパですが、そのやさしい眼差しと純白の美しさに警戒心を解いてしまいます。

そうです。これがゼウスの作戦でした。
警戒されずに近づくためのテクニック。
変身という神ならではのチート技といってもいいでしょう。

こいういう「誰がみてもゼウス顔(?)」をしたゼウス。

大神ゼウス

ギリシャ神話界では面が割れまくっています。
しかも女好きで超有名。
このまま本来の姿を表わすのは得策ではないと考えました。

まんまとゼウスの策略にはまり、ガードを下ろしてしまったエウロパ。
つい牡牛の背中に乗ってしまったところ・・・

牡牛は突然走りだします!

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!」

というエウロパの言葉はガン無視
山や森や野原を爆走します。

牛に乗ったエウロパ

そのまま海をこえてクレタ島まで来てしまいました。

そこで、初めて牡牛から神の姿にもどったゼウス、
事情を説明してエウロパに求婚します。

その後、エウロパはクレタ島でゼウスの子を生んで幸せに暮らしました・・・というお話です。

牡牛に乗ったエウロパの姿はギリシャのコインになっています。

エウロパのコイン

神話の舞台となったクレタ島(ギリシャ)のアイオス・ニコラオスという街には彫像があります。

クレタ島のエウロパ

ロンドン(イギリス)にあるハイドパークにもあります。

ハイドパークのエウロパ

ルネッサンス期の画家ティツィアーノ・ヴェチェッリオが有名な絵をのこしています。『エウロペの略奪』という絵で1562年に制作されました。アメリカのボストンにある「イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館」に収蔵されています。

ティツィアーノ作エウロパ

また、「エウロパ」は「ヨーロッパ」の語源にもなりました。

それにしても大神ゼウス様、相変わらずものすごい行動力です。
神だけにやりたい放題です。
けれども、問答無用でさらってしまってはマズいのではないでしょうか(汗)

さて、余談も余談ですが、この物語を現代バージョンにしてみました。

おうし座の神話〜現代バージョン

ゼウスは世界最大のIT企業の創業社長で知らない人がいない有名人でした。
あるときパーティで出会った知事の娘エウロパに心を奪われます。

ゼウスはエウロパを口説くためにランボルギーニ
(エンブレムが牡牛のイタリア製スーパーカーです)
を用意します。

Lamborghini 2017 Aventador S Roadster(※画像:SpielvogelFor a gallery of some more of my uploaded pictures see: here. [CC0], from Wikimedia Commons)

ランボルギーニの美しさに警戒心をといてしまったエウロパはつい助手席に座ってしまいます
ある意味古典的なナンパといえるのかもしれません。もとが古典だけに)。

エウロパが助手席に座った途端、ゼウスはアクセルを床まで踏み込みます。

エウロパを載せたランボルギーニは巨大なV12エンジンの咆哮を響かせて猛然と走り出しました。
それこそ牡牛のように。

向かった先はビーチ沿いの豪華セレブリゾート「クレタ」

ギリシャのリゾート

(※画像はサントリーニ島のリゾートホテル)

そこでゼウスは求婚し、二人は幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。

・・・無理がありますね。
ドライブというか、誘拐ですね。。

オレンジ色に輝くアルデバラン 直径は太陽の50倍!

おうし座のα星がアルデバランです。

アルデバラン

全天に21個しかない1等星のひとつで、
直径は太陽の約50倍、質量は25倍という巨大な恒星です。

ベテルギウス

周囲には巨大なガス層が広がっていて、その大きさはなんと太陽系の3倍(!)にも達します。
一番外側の層は低温ガスと塵によって覆われています。

おおいぬ座のシリウス、
オリオン座のリゲル
ぎょしゃ座のカペラ
ふたご座のポルックス
こいぬ座のプロキオン、
とともに「冬のダイヤモンド」を形成します。

プレアデス星団(すばる)は清少納言もイチオシ

プレアデス星団は地球から約400光年の距離にあります。

120個ほどの恒星によって形成されていて、全体が青い色のガスに包まれている美しい星団です。

プレアデス星団

日本でも平安時代の頃から「すばる」の名前で知られている星団で、清少納言枕草子で以下のように書いています。

枕草子原文
星はすばる、彦星、夕筒。よばい星、少しをかし。尾だになからましかば、まいて。

どういう意味かというと、

訳文
星といえば、すばるが素敵。ひこぼしも好き。宵の明星もいいよね。流れ星もいいかんじだけど、しっぽがなければもっといいのに。

清少納言は流れ星があまり好きではなかったんですね。
それでは、ちょっとふざけて現代風にアレンジしてみますか。

現代バージョン(?)
星といえばやっぱりプレアデス星団よね。アルタイルも素敵。なんといっても若い恒星だし。金星も好きだな〜、都会でもよく見えるから。流星もいいけど、しっぽがあるからちょっとイマイチかなぁ。しっぽなしで星空を動く人工衛星のほうが美しいわね。

しっぽがお嫌であれば、しっぽがないまま星空を「すーっ」て動く人工衛星などいかがでしょう?

枕草子
(※枕草子絵詞のシーン)

ちなみに自動車メーカーの「SUBARU」もプレアデス星団が由来。
SUBARU車のエンブレムもプレアデス星団です。

Ebisu Subaru showroom(※画像:Gungun01 [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], from Wikimedia Commons)

清少納言も肉眼でみていたように(あたりまえです)、プレアデス星団は肉眼で観測可能です。

ただし、晴れて十分に澄んだ空、そして、周囲が明るくないという条件がそろわないとちょっと観測はむずかしいかもしれません。うまくいけば肉眼でも6個以上の星をみつけることができるしょう。

プレアデス星団を観察するときは双眼鏡を使うのがオススメです。
望遠鏡だと倍率が高すぎて全体を眺めるのには不向きです。
星団内の恒星を観察するときは望遠鏡を使う必要がありますが、全体像を鑑賞するには双眼鏡がベスト。

沖縄県の八重山諸島では農作業の時期を知るため古くからプレアデス星団が使われていました。

「星見石」という穴の空いた石を使って、この穴の中にプレアデス星団がみえたら種播きをする、という使い方をしていました。

Taketomi hoshimiishi 1
(※沖縄県竹富島の星見石)
(※画像:Paipateroma [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], from Wikimedia Commons)

沖縄ではプレアデス星団のことを「むりぶし」や「ぶりかぶし」といいます。

実は、プレアデス星団は望遠鏡の名前として人気があります(?)

たとえば、石垣島天文台にある天体望遠鏡の名前は「むりぶし望遠鏡」
国立天文台ハワイ観測所にある望遠鏡の名前は「すばる望遠鏡」です。

すばる望遠鏡
(参考元:国立天文台 すばる望遠鏡
(※手前がすばる望遠鏡です)

プレアデス星団にまつわる神話〜オリオンから逃げろ!七姉妹

プレアデス星団の名前の由来となったギリシャ神話を紹介しましょう。
オリオン座で紹介したオリオン青年がここでも登場します。
(イケメンで乱暴で超強くて女好きなオリオン青年の物語はコチラ

巨人アトラスと女神プレイオネの間に生まれた美しい妖精(ニンフ)がいました。

マイア、エレクトラ、タイゲテ、アルキュオネ、メローペ、ステロペ、ケイラノの7姉妹で、月の女神アルテミスに仕えていました。

彼女たちをプレアデス7姉妹といいます。

プレアデス七姉妹
(※象徴主義の画家エリュー・ヴェッダーが1885年に制作)

プレアデス姉妹の美しさに惹かれたオリオンは彼女たちをしつこく追いかけます。

これを見かねた女神アルテミスは、プレアデスを7羽の鳩に変えて天に逃しました。

いまでも冬の夜空ではオリオンがプレアデスを追いかけています。

凝りないな、オリオン!

「かに星人」はいるのか?カニみたいな「かに星雲」

カニみたいな形の星雲「かに星雲」
中心部には「かにパルサー」が存在しています。

かに星雲
(参考元:NASA – Messier 1 (The Crab Nebula)

「かに星雲」「かにパルサー」とくれば「かに星人」がいそうな感じですが、いまのところ存在は確認されていません。

かに星雲は1054年におきた超新星爆発の残骸です。
このときの爆発は日本でも記録に残っていて、数週間のあいだ昼間でも視認できたそうです。

爆発から1000年経過したいまでも秒速150kmというスピードで膨張しています。

もとの星の中心核が中性子星として残っていて、1秒間に30回転してパルスを放っています。
それが「かにパルサー」
なんだかB級SFに出てきそうな名称ですが・・・なお放出しているパルスはX線、電波、光などです。

このパルスがあまりに規則的なので、観測した天文学者たちは宇宙人からの交信だと確信したそうです。

あわや「かに星人」登場か(!)という場面でしたね。